連載「希望の明日へ―個別具体の中のリアルな真実―」第5章(その2)

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希望の明日へ
―個別具体の中のリアルな真実―

第5章 “菜園家族 山の学校” その未来への夢(その2)

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連載「希望の明日へ―個別具体の中のリアルな真実―」
第5章 “菜園家族 山の学校” その未来への夢(その2)
(PDF:461KB、A4用紙7枚分)

4 諦念に沈む限界集落

 しかし、現実は、そう生易しいものではありません。
 “菜園家族 山の学校”の拠点となる大君ヶ畑(おじがはた)は、四十数戸(2008年)からなる、近世江戸時代の“村”を継承する伝統ある古い集落です。
 原初的な山岳信仰から生まれ、風雲を支配するという八大竜王が祀(まつ)られている白山神社と、浄土真宗の妙玄寺、宗願寺という2つのお寺があり、村の人びとは、四季折々の伝統行事を行ってきました。

写真5-4 白山神社「三季の講」秋の例祭(2001年9月)
白山神社の「三季の講」の秋の例祭(2001年9月)
「三季の講」を支える若衆集団は、村落構造の中心的役割を担ってきた。少なくとも近世以来続いてきたこの例祭も、若者の急速な減少によって、2005年秋を最後にその正式な形態は途絶えた。

 ところが、過疎・高齢化が急速にすすみ、白山神社の行事である「三季の講」や、御池岳への雨乞い踊り「かんこ踊り」すら、主役となるべき青年や子どもたちがいなくなり、継続が困難になっています。
 この集落を含む広大な鈴鹿山脈の森林地帯と、犬上川上流域の清流に恵まれた渓谷一帯をいかに再生させていくかは、地域の人びとにとって喫緊の課題ですが、現状ではあまりにも気の遠くなる難題であるといわざるをえません。

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連載「希望の明日へ―個別具体の中のリアルな真実―」第5章(その1)

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第5章 “菜園家族 山の学校” その未来への夢(その1)

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第5章 “菜園家族 山の学校” その未来への夢(その1)
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写真5-3 おじがはた保育園
おじがはた保育園
中央が保育園舎、右端が体育館。校庭はこの奥に広がる。手前を流れるのは犬上川北流

1 “めだかの学校” を取り戻す

  めだかの学校

 作詞/茶木 滋  作曲/中田喜直

めだかの学校は 川のなか
そっとのぞいて みてごらん
そっとのぞいて みてごらん
みんなでおゆうぎ しているよ

めだかの学校の めだかたち
だれが生徒か 先生か
だれが生徒か 先生か
みんなでげんきに あそんでる

めだかの学校は うれしそう
水にながれて つーいつい
水にながれて つーいつい
みんながそろって つーいつい

(1951年、NHKラジオ「幼児の時間」で放送)

“めだかの学校”は、作詞者の茶木滋が、終戦直後の春、疎開先の小田原で幼い息子と買い出しの途中、荻窪用水のほとりで見た情景と、2人で交わした会話をもとに、うたったものといわれています。

 21世紀、混迷のなかから、私たちが、そして世界が探し求めているものは、エコロジーの深い思想に根ざした本物の自然循環型共生社会への確かな糸口です。その意味でも、“菜園家族 山の学校”は、一地方のささやかな試みではあっても、その夢は大きいといわなければなりません。

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連載「希望の明日へ―個別具体の中のリアルな真実―」第4章(その2)

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―個別具体の中のリアルな真実―

「お任せ民主主義」は諸悪の根源である

政治資金パーティー裏金問題に端を発し
政治権力の底知れぬ構造的腐敗
権力のまさしく本質が
ようやく国民の目にさらけ出されつつある。

 政治家は欺瞞に充ち満ちた
 「選挙」という実に卑小な枠組みに
 すっかり取り付かれ
 私利私欲に走り、保身をはかる
 ついには、骨の髄まで腐り切っていく。

それを許してきた温床は
まさしく戦後長きにわたって
「お任せ民主主義」に安住し
主体性を失い
ますます内向きになっていく
国民の脆弱な意識そのものではなかったのか。

 今、この恐るべき現実を突き付けられ
 こんな筈ではなかったと
 やっと気づきはじめたのかもしれない。

だが、驚くべきことに
当の政治家自身が
そもそも道義的にも失ったはずの「議席」に居座り
平然と権力を温存し、勝手気ままに
生き残ろうと画策している始末なのだ。

 この現実はあまりにも根深い
 だから、今度こそは騙されてはならない。

結局それは、心の奥底から掘り起こす
私たち自身のまさに意識の大転換でなければならないのだ。

 生命系の未来社会論具現化の道としての
 「菜園家族」社会構想の根底には
 人びとの心に脈々と受け継がれてきた
 大地への回帰と止揚(レボリューション)という
 民衆の揺るぎない歴史思想の水脈が
 深く静かに息づいている。

まさにこの民衆思想が
冷酷無惨なグローバル市場に対峙し
大地に根ざした
素朴で精神性豊かな生活世界への
新たな局面を切り拓くであろう。

 世界は変わる
 人が大地に生きる限り。

第4章  地域再生に果たす国と地方自治体の役割(その2)

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第4章 地域再生に果たす国と地方自治体の役割(その2)
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青色の線・水色の三角パネルの幾何学模様

3 新しい地域金融システムと交通システムの確立

 森と海(湖)を結ぶ流域地域圏(エリア)が相対的に自立度の高い経済圏として成立するためには、どのような前提が必要になるかを、もう少し考えてみましょう。
 長期的展望に立った流域地域圏(エリア)の基本構想を立案し、それを計画的に実行していくためには、後述する森と海(湖)を結ぶ流域地域圏(エリア)自治体(郡)ともいうべき体制を整える必要があります。
 そして、今日の税制のあり方を抜本的に改革した地方自治体の財政自治権を確立することが不可欠の課題です。

 その上で、国および都道府県レベルに創設される公的機関「CO削減(C)と菜園家族(S)創出の促進(S)機構(K)」(略称CSSK)との連携を強化しつつ、流域地域圏(エリア)自治体(郡)が自らの判断で、「菜園家族インフラ」への的確な公共投資を計画的に行えるような、地域政策投資のシステムを確立しなければなりません。

 また、相対的に自立度の高い経済圏が成立するためには、流域地域圏(エリア)内でのモノやカネやヒトの流通・交流の循環の持続的な成立が大切です。そのためには、流域地域圏(エリア)内での生産と消費の自給自足度、つまり「地産地消」の水準が、可能な限り高められなければなりません。

 そして、地域融資・地域投資の新しい形態として、土地とか建物を担保にしてお金を貸す従来型のバンクではなく、事業性や地域への貢献度から判断してお金を貸す、本当の意味でのコミュニティ・バンクの創設が肝心です。
 そして、地域通貨を導入するなど、自律的な小経済圏を支える独自の経済システムを整えていく必要があります。

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連載「希望の明日へ―個別具体の中のリアルな真実―」第4章(その1)

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「お任せ民主主義」は諸悪の根源である

政治資金パーティーに端を発し
政治権力の底知れぬ構造的腐敗
権力のまさしく本質が
ようやく国民の目にさらけ出されつつある。

 政治家は欺瞞に充ち満ちた
 「選挙」という実に卑小な枠組みに
 すっかり取り付かれ
 私利私欲に走り、保身をはかる
 ついには、骨の髄まで腐り切っていく。

それを許してきた温床は
まさしく戦後長きにわたって
「お任せ民主主義」に安住し
主体性を失い
ますます内向きになっていく
国民の脆弱な意識そのものではなかったのか。

 今、この恐るべき現実を突き付けられ
 こんな筈ではなかったと
 やっと気づきはじめたのかもしれない。

だが、驚くべきことに
当の政治家自身が
そもそも道義的にも失ったはずの「議席」に居座り
平然と権力を温存し、勝手気ままに
生き残ろうと画策している始末なのだ。

 この現実はあまりにも根深い
 だから、今度こそは騙されてはならない。

結局それは、心の奥底から掘り起こす
私たち自身のまさに意識の大転換でなければならないのだ。

 生命系の未来社会論具現化の道としての
 「菜園家族」社会構想の根底には
 人びとの心に脈々と受け継がれてきた
 大地への回帰と止揚(レボリューション)という
 民衆の揺るぎない歴史思想の水脈が
 深く静かに息づいている。

まさにこの民衆思想が
冷酷無惨なグローバル市場に対峙し
大地に根ざした
素朴で精神性豊かな生活世界への
新たな局面を切り拓くであろう。

 世界は変わる
 人が大地に生きる限り。

第4章  地域再生に果たす国と地方自治体の役割(その1)

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第4章 地域再生に果たす国と地方自治体の役割(その1)
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三角のパターン

 市場原理が徹底して貫徹している一国の経済体制のただ中に、「菜園家族」を創出し、それを基軸に、いわば異質とも言うべき、相対的に自立度の高い自然循環型共生の経済圏を構築するということは、言うまでもなく容易ではありません。したがって、国と地方自治体は、その生成・構築のための環境づくりに格別に大きな役割を果たさなければならないことになります。

 国と地方自治体の施策については、第2章4節で提起したCSSKメカニズムを有効に活用していくことが大切です。
 この章では、鈴鹿山脈と琵琶湖を結ぶ犬上川・芹川流域地域圏(エリア)(彦根市、犬上郡多賀町・甲良町・豊郷町の一市三町)を想定し、国や地方自治体の果たすべき具体的な役割と、「菜園家族」時代の地方自治のあるべき姿について、現段階で考えうる重要な点を述べていきたいと思います。

1 公的「農地バンク」の設立 ―農地と勤め口(ワーク)の一体的シェアリング

 「菜園家族」構想を実現していく最初の段階で、まず、国や地方自治体が直面する重要課題は、「菜園」、つまり農地の確保と、週休(2+α)日制のワークシェアリング(但し1≦α≦4)の確立です。両者を相互に関連させて、もう少し掘り下げて考えてみましょう。

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連載「希望の明日へ―個別具体の中のリアルな真実―」第3章3節

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 今度こそは
 国民意識の大転換であってほしい

政治家は欺瞞に充ち満ちた
卑小な「選挙」の枠組みにすっかり埋没し
ついに、骨の髄まで腐り切っていく。

 この政治の権力構造の根深い腐敗。
 これを許してきたのは、一体何だったのか
 それはまさしく「お任せ民主主義」に安住し
 主体性を失い
 ますます内向きになっていく国民の
 脆弱な意識そのものではなかったのか。

今、この厳しい現実を突き付けられ
こんな筈ではなかったと
やっと気づきはじめたのかもしれない。

 今度こそは、騙されてはならない
 結局それは、私たち自身の意識の大転換なのである。

生命系の未来社会論具現化の道としての
「菜園家族」社会構想の根底には
人びとの心に脈々と受け継がれてきた
大地への回帰と止揚(レボリューション)という
民衆の揺るぎない歴史思想の水脈が
深く静かに息づいている。

 まさにこの民衆思想が
 冷酷無惨なグローバル市場に対峙し
 大地に根ざした
 素朴で精神性豊かな生活世界への
 新たな局面を切り拓くであろう。

世界は変わる
人が大地に生きる限り。

第3章  グローバル経済の対抗軸としての地域
―森と海(湖)を結ぶ流域地域圏(エリア)再生への道―

琵琶湖畔・彦根
琵琶湖畔の彦根市街地 ~はるか遠方に伊吹山を望む

3 「匠商(しょうしょう)家族」が担う中心街と中核都市

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第3章 グローバル経済の対抗軸としての地域
3 「匠商家族」が担う中心街と中核都市
(PDF:432KB、A4用紙7枚分)

花火

非農業基盤の零細家族経営と中小企業
 周知のように、非農業基盤の零細家族経営や中小企業は、日本の商業や工業において、きわめて大きな比重を占めています。細やかで優れた技術やサービスを編み出し、日本経済にとって不可欠な役割を果たしてきました。
 にもかかわらず、大企業との取引関係でも、金融・財政面や税制面でも不公正な扱いを受け、経営悪化に絶えず苦しめられ、極限状態にまで追いつめられています。

 アメリカ発信のグローバリゼーションのもと、アメリカ型経営モデルが強引に持ち込まれ、「消費者主権」の美名のもとに規制緩和がすすめられてきました。地方では、大資本による郊外型巨大量販店やコンビニエンスストア、ファストフードのチェーン店が次々と進出し、零細家族経営や中小企業は、破産寸前の苦境に追い込まれています。
 犬上川・芹川流域地域圏(エリア)の中核都市・彦根も、例外ではありません。商店街では多くの店のシャッターがおろされ、人影もまばらな閑散とした風景が当たり前のように広がっています。

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連載「希望の明日へ―個別具体の中のリアルな真実―」第3章2節(その2)

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第3章  グローバル経済の対抗軸としての地域
―森と海(湖)を結ぶ流域地域圏(エリア)再生への道―

琵琶湖畔・彦根
琵琶湖畔の彦根市街地 ~はるか遠方に伊吹山を望む

2 「森の菜園家族」による森林地帯の再生(その2)

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第3章 グローバル経済の対抗軸としての地域
2 「森の菜園家族」による森林地帯の再生(その2)
(PDF:615KB、A4用紙10枚分)

山の活用に斬新な発想を ―尾根づたい高原牧場ベルトライン
 これまでの林業のあり方だけでは、とくに若い人びとが森に足を踏み入れることは、想像以上に困難です。21世紀型の山の生業(なりわい)と暮らしのあり方を考え、斬新な発想による新しい方法を編み出さない限り、再生の展望は開けてこないでしょう。
 私たちは今、世界を覆う閉塞状況のなかにあって、夢を描くことすらためらう時代になってしまいました。長期的展望に立って遠大な夢を描くことは、人びとの心のなかに眠っていたさまざまな発想や知恵を次々に呼び起こし、具体的な発案を促し、行動へとつながっていくものです。
 そんな夢の1つを、以下に紹介してみましょう。

 それは、山頂と山頂を延々とつなぐ「尾根づたい高原牧場ベルトライン」構想です(図3-7)。犬上川・芹川流域地域圏(エリア)であれば、霊仙山―鍋尻山―高室山―三国岳―鈴ヶ岳―御池岳―八尾山の山頂付近をつなぎ、全長25~30㎞にもおよびます

図3-7「尾根づたい高原牧場ベルトライン」構想の略図
図3-7「尾根づたい高原牧場ベルトライン」構想の略図
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連載「希望の明日へ―個別具体の中のリアルな真実―」第3章2節(その1)

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第3章  グローバル経済の対抗軸としての地域
―森と海(湖)を結ぶ流域地域圏(エリア)再生への道―

琵琶湖畔・彦根
琵琶湖畔の彦根市街地 ~はるか遠方に伊吹山を望む

2 「森の菜園家族」による森林地帯の再生(その1)

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第3章 グローバル経済の対抗軸としての地域
2 「森の菜園家族」による森林地帯の再生(その1)
(PDF:599KB、A4用紙14枚分)

荒廃する山の集落と衰退の原因
 彦根市と犬上郡多賀町・甲良町・豊郷町の一市三町からなる犬上川・芹川流域地域圏(エリア)
 この東の周縁には鈴鹿山脈が走り、北から南へ霊仙山(りょうぜんやま)、三国岳、鈴ヶ岳、御池岳(おいけだけ)と標高1,000メートル級の山々が連なっています。
 森林地帯は流域地域圏(エリア)総面積の56%を占め、この森林地帯の81%が多賀町で、18%が彦根市の北東部です。したがって、森林総面積の実に99%が地域圏(エリア)の東縁に集中していることになります。とくに多賀町は、町の総面積の85.5%が森林で、「森の町」の名にふさわしい自然条件にあります。

図3-5 多賀町の地勢と集落
図3-5 多賀町の地勢と集落

 この広大な森林地帯は自然の降水を受けとめ、涵養し、山あいを走る渓流は川となって西へ流れ、平野を潤し、人びとの暮らしを支えてきました。この森林地帯は、犬上川・芹川流域地域圏(エリア)に生活する13万人のまさに“いのち”の源なのです。

 ところが、この森林山間地帯は、今では惨憺たる有り様です。広大な山間に散在する集落では、空き農家が続出し、多くの集落が廃村ないしは限界集落の状態にまで追い詰められています。高齢化によって、林業や農業の担い手は完全に失われ、山は荒れ放題です。
 滋賀県の行政サイドからは、「環境こだわり県」のかけ声が聞こえて、久しくなります。新しい県政をむかえた今こそ、環境パフォーマンスの段階は卒業して、「環境問題」を地域の暮らしの根っこから捉え直し、真剣に考える時機に来ているのではないでしょうか。

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連載「希望の明日へ―個別具体の中のリアルな真実―」第3章1節

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第3章  グローバル経済の対抗軸としての地域
―森と海(湖)を結ぶ流域地域圏(エリア)再生への道―

琵琶湖畔・彦根
琵琶湖畔の彦根市街地 ~はるか遠方に伊吹山を望む

 グローバル経済が席捲する今こそ、これに対抗する包括的な地域研究の確立と地域実践が求められています。「菜園家族」を育むゆりかごとなる、森と海(湖)を結ぶ流域地域圏(エリア)。衰退のどん底から、反転、再生を考えるとき、「菜園家族」構想の基本理念に沿って、どのような地域の未来が描けるでしょうか。

 本章ではその再生への道を探るべく、1つの典型的な地域モデルとして、滋賀県の犬上川・芹川流域地域圏(エリア)(彦根市、犬上郡多賀町・甲良町・豊郷町の一市三町)を取り上げ、考えていきましょう。
 森と湖(うみ)を結ぶこの流域地域圏(エリア)は琵琶湖の東側に位置し、湖畔から湖東平野を経て鈴鹿山脈の広大な森林地帯までがその地理的範囲です(図3-1)。東西28km、南北19km、面積は256㎢あります。
 ここでは、この流域地域圏(エリア)を、とくに土地利用の視点から自然・社会・経済・文化・歴史の諸条件を考慮して、田園地帯、森林地帯、市街地と大きく3つに区分。それぞれのおかれている現状を直視するとともに、その地域再生の基本方向を考えていくことにします。

図3-1 犬上川・芹川流域の一市三町(彦根市、犬上郡多賀町・甲良町・豊郷町)の地勢とおもな集落
図3-1 犬上川・芹川流域の一市三町(彦根市、犬上郡多賀町・甲良町・豊郷町)の地勢とおもな集落

1 中規模専業農家と「菜園家族」による田園地帯の再生

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第3章 グローバル経済の対抗軸としての地域
1 中規模専業農家と「菜園家族」による田園地帯の再生
(PDF:447KB、A4用紙7枚分)

農業規模拡大化路線の限界
 犬上川・芹川流域地域圏(エリア)の主たる田園地帯としては、まず、彦根市の犬上川以南に広がる広大な平野部が挙げられます。加えて、甲良町の総面積の87%、豊郷町の総面積のほぼ全域が、主要な田園地帯に含まれます。

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連載「希望の明日へ―個別具体の中のリアルな真実―」≪小括≫

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希望の明日へ
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≪小括≫ ―北国の春、中間的まとめとして―

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≪小括≫ ―北国の春、中間的まとめとして―
(PDF:461KB、A4用紙7枚分)

舞い落ちる雪

≪小括≫ ―北国の春、中間的まとめとして―

CFP複合社会の措定と高次自然社会への道
 これまでの考察から、少なくとも2つの大切なことが明らかになってきました。
 1つは、19世紀以来、資本主義超克の道として模索され世界的規模で展開されてきた、生産手段の社会的規模での共同所有・共同管理を優先・先行させる従来型の社会主義理論の限界とその欠陥が、20世紀におけるその実践の失敗によって決定的になったにもかかわらず、今なおその根本原因の省察が不徹底であるということ。

 もう1つは、それゆえに、19世紀以来の未来社会論に代わる新たな未来社会論、つまり未来への明確な展望を指し示し、同時に現実社会の諸矛盾をも克服していく具体的な道筋を全一体的に提起し得る21世紀の確かな未来社会論を、いまだに構築し得ずにいるということです。

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連載「希望の明日へ―個別具体の中のリアルな真実―」第2章4節(その2)

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―個別具体の中のリアルな真実―

第2章  人間復活の「菜園家族」構想

4 地球温暖化と「菜園家族」(その2)

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第2章  人間復活の「菜園家族」構想
4 地球温暖化と「菜園家族」(その2)
(PDF:547KB、A4用紙9枚分)

東ボグド高山、ヤギを追う遊牧民

4 地球温暖化と「菜園家族」(その2)

「環境先進社会」に学ぶ
 今日、「省エネ技術」の開発が進んだ国を「環境先進国」と位置づけ、それが常識になっています。しかし、この考え方は根本から改めなければならない時に来ているのではないでしょうか。
 私たちがめざしているのは、究極において、ほかでもない、高次に発達した自然社会です。不当にも「遅れた国々」とも呼ばれている、伝統的な自然循環型の社会こそ、まさに「環境先進社会」と呼ぶべきかもしれません。
 こうした社会こそ、意外にも、私たちがこれからめざすべき高次自然社会へのもっとも近い、健全な道を歩む可能性を秘めているとも言えるからです。

 私たちは、ある条件のもとで、後進性が先進性に転化するという、この弁証法を歴史のさまざまな局面で見てきました。
 乾燥した大地にわずかに生える草をヤギや羊たちに食べさせ、丹念に乳を搾り、チーズやヨーグルトをつくり、自ら育てた馬やラクダで移動し、家族とともにつつましく生きているモンゴルの遊牧民たち。

 こうした人びとから見れば、豊かな自然と四季に恵まれているはずの日本など、さしずめ「輸入してまで食べ残す、不思議な国ニッポン」に映ることでしょう。
 そして、四六時中テレビから垂れ流すイメージ優先のコマーシャルで人びとの購買欲をかき立て、まだまだ十分に使えるのに、買い捨てを繰り返させる、誠にぜいたくな社会だと、本当は、憤りさえ覚えているのかも知れません。

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