連載「希望の明日へ―個別具体の中のリアルな真実―」の総括にかえて “高次自然社会への道”(その7)
連載「希望の明日へ―個別具体の中のリアルな真実―」の終了にあたり
≪総括にかえて≫
“高次自然社会への道”(その7)
―自然との再融合、原初的「共感能力」(慈しむ心)再建の可能性―
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連載「希望の明日へ―個別具体の中のリアルな真実―」の
≪総括にかえて≫ “高次自然社会への道”(その7)
(PDF:547KB、A4用紙8枚分)
7 ヒトの原初的「共感能力」(慈しむ心)の復権と非戦・平和の礎
―地域に築く抗市場免疫のライフスタイル―
既に見てきたように、ヒトの「常態化した早産」が原因となって、「未熟な新生児」を受け入れ、長期にわたって庇護する必要性から、他の哺乳動物には見られない、人間に独特の発達事象「家族」の発生を見ることになる。
この稀に見る「家族」を基底に、人間発達の他の3つの事象「言語」、「直立二足歩行」、「道具」が相互に作用し合い、ヒトの脳髄は特異な発達を遂げてきた。
ここでもう1つ見落としてはならない大切な人間の発達事象として、人類始原のヒトに特有の感性、すなわち原初的「共感能力」(慈しむ心)が芽生えてきたことをここで再確認しておきたい。
二百数十万年と言われる人類史の大半を占める、長期にわたる原始的無階級社会、つまり人類始原の自然状態にあっては、ヒトに特有のこの原初的「共感能力」、すなわち他者の痛み、他者の喜怒哀楽を自らのものとして受け止め、共振・共鳴する能力は、緩慢とは言え、徐々に繊細かつ豊かな発達を遂げてきたと言えよう。
しかし、「道具」の発達に伴って生産力が発展するにつれ、個々人の労働によって生み出される剰余価値の収奪が可能になると、人間による人間の「規制・統制・支配」がますます強化されていく。それに従って、長い時間をかけ、着実にゆっくり発達してきたヒトに特有のこの原初的「共感能力」(慈しむ心)は、次第に揺らぎはじめる。
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