お知らせ 長編連載「いのち輝く共生の大地 ー私たちがめざす未来社会ー」の掲載再開について
1月17日(金)より再開させていただきますので、本年も引き続きご覧いただければ幸いです。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
1月17日(金)より再開させていただきますので、本年も引き続きご覧いただければ幸いです。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
1月10日より再開する予定でしたが、諸般の事情により若干遅らさせていただくことになりました。
再開の日程が決まり次第お知らせいたしますので、今しばらくお待ちください。
新年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
モンゴル・遊牧の大地に生きる人々の暮らしを丹念に描き、1998年の公開以来、全国でご好評を得てきた 長編ドキュメンタリー 完全版『四季・遊牧 ―ツェルゲルの人々―』(三部作・全6巻 7時間40分)を待望のDVDダイジェスト版(前・後編 2枚組 各1時間40分)に編集!ただ今、発売中!
DVDダイジェスト版『四季・遊牧 ―ツェルゲルの人々―』
(前・後編 2枚組 各1時間40分)
*チャプターメニュー画面付き
Nomad
里山研究庵Nomad
(前・後編 2枚組)5.600円(税込)
官製ハガキ、またはFAX、e-mailで、郵便番号・ご住所・ご氏名・お電話番号および「DVDダイジェスト版『四季・遊牧』の購入申込み」と明記の上、里山研究庵Nomadまでお申込み下さい。お電話でお申込みの場合は、上記の事項をお伝え下さい。
お申込みの受付次第、ご注文の作品に「解説リーフレット」を添えて郵送いたします。
作品を郵送する際、郵便振替用紙を同封いたします。お手数をおかけしますが、この振替用紙でご入金ください。なお、作品の郵送代と振込手数料は、無料です。
里山研究庵Nomad | ||
TEL&FAX | 0749-47-1920 | |
onuki@satoken-nomad.com | ||
住所 | 〒522-0321滋賀県犬上郡多賀町大字大君ヶ畑(おじがはた)452番地 |
一度見出したらどうしても席を立てない。モンゴルの遊牧民の暮らしのようにゆったりとした時間に包まれながら、終わりまで見てしまう。この作品にはそんな不思議な魅力がある。学術的な記録として撮られた画像なのだろうが、これはもう、作品である。
モンゴルの大自然とそこに暮らす素朴な人々 ―― というテーマで作られたテレビドキュメントはいくらでもある。劇映画もいくつか作られている。しかし、調査隊の学者や学生たちが、日本では想像もできない厳しい自然の中を、ツェルゲルという村で一年を過ごしながら作られた『四季・遊牧』は、そのてのものとはまったく違う。モンゴルを深く知る人によってはじめてとらえることのできる迫力が画面に溢れ、一年間をともに過ごした何組もの遊牧の家族たちへの熱い愛情と、その人たちの暮らしのあり方への敬意が胸をうつ。
ドキュメント映像の価値は、技術よりも対象への愛と、そして尊敬なのだということを、小貫さんのような学者が作った、この立派な作品から教えられた。
このDVD作品は、長編ドキュメンタリー『四季・遊牧 ―ツェルゲルの人々―』三部作・全6巻(7時間40分)のダイジェスト版(前編・後編 各1時間40分)です。
『四季・遊牧』は、1992年秋から一年間、モンゴル・ゴビ・アルタイ山中のツェルゲル村に住込み撮影した記録映像をもとに、制作されたものです。
ツェルゲルの四季折々の自然とそこに生きる遊牧民の生活を、映像と音楽と語りの絶妙なハーモニーによって、独自の世界に謳いあげています。
スクリーンに映し出される、日本社会とは対照的な、モンゴルの山岳・砂漠のつつましい暮らし。大地にとけ込むように生きる子供たちの表情。ヤギの乳を搾る少女の目の輝き。なぜかその一つ一つが雄々しく映ります。
1989年、ベルリンの壁の崩壊を機に、この「辺境」にも押し寄せてくるグローバリゼーションの波。ツェルゲルの人々はこれに抗して、地域自立の道を模索しはじめるのです。
この度、私たちは、子供からお年寄りまで、幅広い世代のみなさんに、より身近なダイジェスト版の形でご覧いただけるよう、原作の核心を損なうことなく、新たな作品世界にまとめました。
(前編・後編 各1時間40分)
前 編 ~秋・冬・早春~(1時間40分)
後 編 ~春・夏・晩秋~(1時間40分)
監督・撮影 | 小貫雅男 |
編集 | 伊藤恵子 |
技術統括 | 久島恒知 |
録音技術 | 三井晶英 |
DTM演奏 | 日下幸子 |
美術 | アニメックス |
語り | 小貫雅男 伊藤恵子 |
題字 | 宇野政之 |
主題歌 | “夢のゴビ”(歌 B.サラントヤー) |
監修 | 冨沢 満 久島恒知 |
協力 | (株)プロダクション 大日/モンゴル国立大学/滋賀県立大学/兵庫県但東町/弓削牧場 T.ムンフツェツェク/Ts.ボルマー/B.ツェベクスレン/今岡良子/村井宗行/芝山 豊 今津宏巨/中村一郎/矢守永生/高澤悠介/野村孝夫/伊藤文隆 |
DVD版制作協力 | ライフ・オン(日下 智) |
長編ドキュメンタリー『四季・遊牧―ツェルゲルの人々―』三部作・全6巻(7時間40分)は、1998年以来、東京・大阪など大都市で、また全国各地の農山村で、市民の方々によるあたたかな上映活動の輪となって、広がってきました。
家族と地域、自然と人間……。はるか遊牧の大地の暮らしを描いたはずのこの物語は、不思議にも、日本の私たち自身の姿を照らし返してくれるようです。
世界の隅々まで巻き込んでゆく市場競争の波。多くの人たちが、いのちを削り、心を病む日々に煩悶しています。『四季・遊牧』は、私たちに“心のふるさと”にも似た懐かしさとやさしさ、未来への希望を思い起こさせてくれるのです。撮影から二十年たった今、その意味は、ますます強まってくるような気がしてなりません。
この作品世界を、子供からお年寄りまで、幅広い世代のみなさんに、より身近な形でご覧いただけるよう、この度、DVDダイジェスト版として、新たなものにまとめることにしました。
このダイジェスト版が、世代を結び、明日への思いを語り合うきっかけになれば、この上ない喜びです。
(編集 伊藤恵子)
小貫雅男(監督・撮影)
輝く朝が播き散らしたものを、
すべて連れ返す宵の明星よ。
あなたは羊を返し、山羊を返し、
母のもとへ子を連れ返す。
(サッフォー断片104 藤縄謙三 訳)
私たちは、21世紀を目の前にしたあの10年間、世界の歴史の大きな転換期に生きてきた。この転換への激動は、世界の中心部にとどまらず、地球の辺境といわれる地域にもおよんでいくのであるが、そこで惹起された問題は、何も解決されずに、今に残されたままである。
1980年代、ソ連・東欧にはじまるペレストロイカの波は、内陸アジアの草原と遊牧の国モンゴルにも押し寄せ、遊牧の社会主義集団経営ネグデル体制は、かげりを見せはじめていた。
1989年11月のベルリンの壁の崩壊は、決定的なインパクトをもって、やがてモンゴルの全土を市場経済のうずに巻き込んでゆく。旧体制の崩壊の中から、地方では伝統的な遊牧共同体ホタ・アイルの再生への動きがはじまり、新たな「地域」の可能性があらわれてくる。
こうした世界史の大きな転換期の中にあって、ツェルゲルの人々は、自らのいのちと暮らしを守るために、新たな「地域」再生の可能性をもとめて模索をはじめたのである。
ツェルゲルとは、モンゴル国のバヤンホンゴル県ボグド郡ツェルゲル村のことである。モンゴルがアジアの片田舎であるとするならば、ツェルゲルは、そのまた片田舎の一小地域社会である。首都ウランバートルから南西へ750キロ。大ゴビ砂漠地帯に連なるゴビ・アルタイ山脈の中の東ボグド山中にある東西40キロ、南北20キロの範囲に広がる遊牧民60家族が暮らしている小さな村である。
この村の東の高山部には、3500メートルの東ボグド山頂が聳え、西にゆくにしたがって低くなる。遊牧民たちは、比較的低い西の麓近くの標高1500~2000メートル一帯に冬営地をかまえ、初夏をむかえると、東の3000メートル級の緑濃い高山部に移り住む。両者の間を上下の移牧をおこなって、四季折々の自然の変化を実に巧みに使いわけて暮らしている。四季を通してほとんど山岳地帯を利用しているので、家畜はヤギが圧倒的に多い。
このツェルゲル村がある広大な砂漠と山岳からなるボグド郡の中心地には、オロックという湖がある。この岸辺には、郡役所、病院、小中学校、郵便局、売店などの施設がある。人口1000人ぐらいの小さな田舎町を形づくっている。しかし、この町はツェルゲル村からは70キロも離れたところにあるので、ツェルゲルの人々は、これらの公共施設を事実上利用できず、郡内の最東端の山中にあって、ひっそりと暮らしている。こうした地理的条件もあって、ツェルゲル村はボグド郡の中では、孤立した存在ではあったが、かえってそのことがこの村を、最も自立心の旺盛な土地柄にしてきた。
こうした土地柄もあって、ツェルゲルの人々は、旧体制の厳しい監視下のもとにあった時から、自立への動きをはじめたのである。世界の動きから遠く離れたこうした山中にありながらも、ツェルゲルの人々は、土着の“共同の思想”に裏打ちされた極めて先進性豊かな“協同組合構想”を、秘かに心に描き、その実現への手がかりを模索していたのである。
この作品は、1992年の秋からはじまる一年間のツェルゲルの人々のこの“模索の動き”を縦糸に、ツェルゲルの四季折々の自然と、その中に生きる遊牧民の暮らしの細部や人々の心のひだをも組み込みながら、独自の世界を美事に紡ぎ織りなしてゆく。
この“模索の動き”のいわば縦糸を紡ぐツェルゲルの人々。その中のリーダーの一人であるツェンゲルさん(35歳)とその家族。生活の辛さも満面に笑みを湛えて吹き飛ばしてしまう肝っ玉母さんのバドローシさん(31歳)。自然の中に溶け込むようにして飛びまわる次女のハンド(7歳)や食いしん坊の御曹司セッド(5歳)。ツェンゲルさんよりも年上で、彼とは苦楽を共にしてきた同志でもあり、貧乏ではあるが誇り高い“没落貴族”のアディアスレンさん(42歳)とその家族たち……。
これら次々と脳裡に甦ってくる作中のどの人物をとってみても、海の向こうの人々とは思えない。身近で、親しみ深く、等身大の生身の人間として立ちあらわれてくる。
乾燥しきった大砂漠の中の山岳地帯。疎らにしか生えないわずかばかりの草をヤギたちに食べさせ、その乳を丹念に搾り、チーズをつくり、乳製品や家畜の肉を無駄なく大切に食して命をつなぎ、つつましく暮らしているこれらの人々が、なぜか気高く映るのである。
一方、断片的でこま切れな情報の氾濫と喧噪に刺激され、際限なく拡大してゆく欲望と消費と生産の悪循環の中で、あくせくと働き、精神をズタズタにされてゆく現代人。その末路がどんなものであるのか、そのことが漸くおぼろげながら見えはじめてきた時、貧しくもつつましく生きるこのツェルゲルの人々のひたむきな生き方に、幽かな21世紀への光明を見た思いがしたのかもしれない。いつしか、この作品の独自の世界に、どっぷりと浸ってゆく。
“輝く朝が播き散らしたものを……”ではじまる冒頭の詩は、古代ギリシャの女流詩人サッフォーの作によるものである。朝に東から太陽が昇り、夕べに西に沈むこの天体の運行に身をゆだね、自然の中に溶け込むようにして日々繰り返しおこなわれてきた、家畜たちと人間たちとの共同の営みは、ギリシャの地においては少なくとも二千数百年の昔から、そしてモンゴルのこのツェルゲルの大地では今日においても受け継がれ、時空を越えて、この地球の悠久の広がりの中で、えんえんと繰り返され、何とか今に継承され保持されてきたことになる。
人間にとって本源的で大切なものは何かと問われれば、それは、迷うことなく、今日の私たちには僅かにしか残されなくなったこの原初的な部分である、と答えるであろう。作品『四季・遊牧 ―ツェルゲルの人々―』は、人類が僅かではあるが保持してきた、この本源的なるものの底に潜む思想の核心部分を、現代に今、甦らせることの大切さと同時に、そのむつかしさを伝え、人間がますます大地から離れてゆく現代の傾向に対して、精一杯の警鐘を打ち鳴らし、人々に再考を促そうとしているのかもしれない。
これまで私たちは、全国各地で『四季・遊牧 ―ツェルゲルの人々―』三部作全6巻(7時間40分)の「お弁当二つの上映会」や、DVDダイジェスト版『四季・遊牧』の上映&学習の集いを行ってきました。
街のホールや公民館、学校、図書館などで開かれるこうした会のご参加者のみなさんからは、たくさんのご感想をお寄せいただいています。
これまでに寄せられたご感想から、ほんの一部ですが、旧サイトでご紹介していますのでどうぞご覧ください(こちらへ)。
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