DVDダイジェスト版に寄せて ―明日への思い―
長編ドキュメンタリー『四季・遊牧―ツェルゲルの人々―』三部作・全6巻(7時間40分)は、1998年以来、東京・大阪など大都市で、また全国各地の農山村で、市民の方々によるあたたかな上映活動の輪となって、広がってきました。
家族と地域、自然と人間……。はるか遊牧の大地の暮らしを描いたはずのこの物語は、不思議にも、日本の私たち自身の姿を照らし返してくれるようです。
世界の隅々まで巻き込んでゆく市場競争の波。多くの人たちが、いのちを削り、心を病む日々に煩悶しています。『四季・遊牧』は、私たちに“心のふるさと”にも似た懐かしさとやさしさ、未来への希望を思い起こさせてくれるのです。撮影から二十年たった今、その意味は、ますます強まってくるような気がしてなりません。
この作品世界を、子供からお年寄りまで、幅広い世代のみなさんに、より身近な形でご覧いただけるよう、この度、DVDダイジェスト版として、新たなものにまとめることにしました。
このダイジェスト版が、世代を結び、明日への思いを語り合うきっかけになれば、この上ない喜びです。
(編集 伊藤恵子)