Facebookページの掲載記事(2021.10.12)
2021年10月12日、菜園家族じねんネットワーク日本列島Facebookページhttps://www.facebook.com/saienkazoku.jinen.network/の「コミュニティ」欄に、出口尚弘さん(神戸市北区)からご投稿をお寄せいただきました。以下に転載いたします。
なお、新プロジェクト“菜園家族じねんネットワーク日本列島”の趣意書(全文)― 投稿要領などを含む ― は、こちらをご覧ください。
少し歩けば農村風景が広がる私の住む里にも秋風が吹き、彼岸花や黄金色の稲穂が揺れる秋たけなわの時節です。
私は今春、『菜園家族レボリューション』等の小貫雅男先生の著書に初めて接し、共鳴するところ多くあり、この度「菜園家族じねんネットワーク日本列島」が発足されるにあたり、早速に私の住む里山住宅地からの発信を試みたいと思います。
私は「菜園家族」構想に刺激を受けて、自分でも水田の米作りを体験してみたいという思いが芽生え、最近になって近隣で稲作をやっている農家の方々を訪ねてみました。これまでは、稲作風景に馴染みはあっても他人事であった世界ですが、このプロジェクトは実践経験なしでは語りえないところがあると考えました。
そこで、色んな苦労話を聞かせてもらいながら、勇気を出して、稲作を経験したいという老人の私の夢のような話をしてみました。
今年すでに喜寿を迎えた私の考えは、自分で考えても荒唐無稽で無謀なことだと認識はしているのですが、やはり稲作というのは大変なことで、“そんなしんどいこと止めときなさい”という反応を受けます。
しかし中には、“試験的にやってみますか?”という人もいました。そこで先ずは、稲刈りなどのお手伝いをしながら経験を重ねて、訓練をしてもらうのが最初のステップ、というところまできたところです。
農家の方たちとのこれまでの対話では、日本の他の多くの地域と同様、高齢化、後継者不足、経済性などの問題があり、稲作の将来像が見えず、消滅の危機に瀕しているような現状を感じます。
平家の落人村と言われるこの里山で何百年もの間、営々と守られてきた棚田の歴史に想いを寄せると、この美しい棚田風景は失われてはならないと思うのです。
私には神戸と大阪でサラリーマンをしている二人の息子があり、パワーポイントも使いながら「菜園家族」構想の話をしました。
急速な経済発展とグローバリゼーションの中で、経済的豊かさを享受して生きてきた親の私が「大地に帰る」話をしても、今も変わらない経済競争の現役世代を生きる息子たちに、「菜園家族」構想のメッセージは簡単に伝わるものではありません。悲観的に考えれば、大量失業時代、食糧危機に直面しなければ覚醒しないのかも知れません。
私はもはや遺言を書くべき年齢なのですが、言葉による遺言ではなく、「新たな生き方」を遺言として残す意味があるだろうと考える昨今です。
Facebookページでの交流で、互いに励ましあえることも有り難く思います。
出口尚弘(神戸市北区在住)
◆プロフィール:日本とスイスの製薬会社で通算37年間勤務。現役で58歳の時に先妻を突然死で失い、同じ悲しみを持つ人のことを理解できることを恵みと感じた経験から、スピリチュアルケアの道を志し、神学部で4年間学び、ハワイの病院で1年間の臨床牧会実習を経験。日本ではホスピス、教会で数年働いた後、仲間とともに語り合う「エピローグの会」を始め今日に至る。