新著『気候変動とパンデミックの時代 生命系の未来社会論』(御茶の水書房)が刊行されました!

 このたび、新著『気候変動とパンデミックの時代 生命系の未来社会論 ―抗市場免疫の「菜園家族」が近代を根底から覆す―』(小貫雅男・伊藤恵子 著、御茶の水書房、A5判並製・371頁、2021年3月19日)が刊行されました。

『生命系の未来社会論』(小貫雅男・伊藤恵子、御茶の水書房、2021年3月)

 

 

   気候変動とパンデミックの時代
   生命系の未来社会論
 ―抗市場免疫の「菜園家族」が近代を根底から覆す―

小貫雅男・伊藤恵子 著
御茶の水書房 http://rr2.ochanomizushobo.co.jp/
A5判並製・371頁、2021年3月19日発行
定価:2,860円(税込)

 

◆本書の要旨◆

         気候変動とパンデミックの時代
         自然観と社会観の分離を排し
         両者合一の普遍的原理を
         社会変革のすべての基礎におく。

           生命系の未来社会論 具現化の道
           「菜園家族」社会構想の根底には
           人々の心に脈々と受け継がれてきた
           大地への回帰と止揚(レボリユーシヨン)という
           民衆の揺るぎない歴史思想の水脈が
           深く静かに息づいている。

         まさにこの民衆思想が
         冷酷無惨なグローバル市場に対峙し
         大地に根ざした
         素朴で精神性豊かな生活世界への
         新たな局面を切り拓く。

           世界は変わる
           人が大地に生きる限り。

                       ~扉のことばより~

 以下に、目次と著者からのメッセージを掲載します。

◆ 目 次 ◆

プロローグ  (1)
 意志あるかのように人間どもの隙を突いてきた新型コロナウイルス
 新型コロナウイルスと気候変動の両者を全一体的(ホリスティツク)に捉える
 新型コロナウイルスがもたらした社会経済的衝撃の真相と本質
 突きつけられた近代特有の人間の社会的生存形態「賃金労働者」の脆弱性
 迷走する新型コロナウイルス対策
 21世紀未来社会構想の不在、それがもたらす気候変動・パンデミック下の混迷
 生命系の未来社会論を探る ― 大地と人間の高次再融合

第Ⅰ部 生命系の未来社会論、その形成過程
    ― 自然界と人間社会を貫く生成・進化の普遍的原理 ―

第一章 生命系の未来社会論の問題意識  (31)

1 21世紀の今、なぜ近代の人間の社会的生存形態「賃金労働者」を問い直すのか (31)
2 生命本位史観に立脚し「家族」と「地域」の再生を探る  (45)
3 今こそ近代の思考の枠組み(パラダイム)を転換する  (54)
   ― 生命系の未来社会論をめざして ―
4 人間、その奇跡の歴史の根源に迫る  (69)

第二章 生命系の未来社会論の前提 ― その方法論の革新のために ―  (85)

1 末期重症の資本主義と機能不全に陥った近代経済学  (86)
  ― 21世紀未来社会論のさらなる深化のために ―
2 19世紀未来社会論の到達点と限界  (98)
3 21世紀の未来社会論、その方法論の革新  (106)

第Ⅱ部 生命系の未来社会論 具現化の道
    ― 究極の高次自然社会への過程 ―

第三章 「菜園家族」社会構想の基礎  (115)
    ― 革新的「地域生態学」の理念と方法に基づく ―

第四章 「菜園家族の世界」― 記憶に甦る原風景から未来へ ―  (143)

第五章 「匠商(しょうしょう)家族」と地方中核都市の形成 ― 都市と農村の共進化 ―  (163)

第六章 「菜園家族」社会構想の現実世界への具体的アプローチ
    ― 実現可能性を探る ― (179)

1 地域再生の究極の鍵  (179)
2 21世紀における草の根の変革主体の構築  (189)

      新生「菜園家族」日本をめざして
第七章 気候変動とパンデミックの時代を生きる  (203)
     ― 避けられない社会システムの転換 ―

第八章 「菜園家族」の台頭と資本の自然遡行的分散過程  (233)
    ― 新たな科学技術体系の生成・進化の可能性 ―

第九章 「菜園家族」を土台に築く円熟した先進福祉大国  (247)
    ― 近代を超克する新たな社会保障制度を探る ―

第十章 近代を超克する「菜園家族的平和主義」の構築  (273)
    ― いのちの思想を現実の世界へ ―

エピローグ ― 高次自然社会への道  (301)

1 CFP複合社会から自然循環型共生社会(FP複合社会)を経て
  高次自然社会へ  (301)
2 人類史における「否定の否定」の弁証法  (313)
3 伝統と革新の「東アジア世界」  (323)
    ― 今やわが国のみならず東アジアの民衆にとって
       自己の主体性の確立は、避けられない共通の急務となっている ―

あとがき  (343)
追記  (347)
引用・参考文献一覧(一部映像作品を含む)  (351)

◆著者からのメッセージ◆
 新型コロナウイルスはあたかも意志あるかのように嘲笑い、人間どもの隙を突いて襲いかかってきた。グローバル化と都市の巨大化・過密化が進む今、ウイルスは瞬く間に地球規模に拡散。パンデミックの猛威は、世界を一気に震撼させた。私たちの社会はいかにも脆弱であり、その根源的矛盾の罠にあっさり取り籠められ、一歩も身動きできない事態に一瞬のうちに陥ってしまった。
 巨大都市集中の歪(いびつ)な国土構造、国内産業を空洞化させ、グローバルなサプライチェーンに依存する生産体系。今さらのように、その弊害の恐ろしさに気づかされた。この際、ごまかすことなく、わが身を振り返り、明日の社会のありようそのものをいよいよ真剣に考えなければならない時に来ている。
 新型コロナウイルスの問題も、気候変動の問題も、自然と人間社会の生成・進化の長い歴史との切っても切れない宿命的とも言える深い関わりの中で、回復不能なまでに生態系を蝕むほどの飽くなき欲望に基づく近年の人間の経済活動によって引き起こされたものである。
 21世紀の世界が行き詰まる中、次々に生起する社会現象に目を奪われているうちに、いつしか大局を見失い、近視眼的思考に陥っていく。そして、事の本質が何であるのかも、分からなくなっていく。世界が混迷の中にあって見通しを失っている今だからこそなおのこと、私たちは一旦立ち止まり、視点を高みに移し、はるか彼方に広がる遠景を展望しつつ、人間社会を自然界全体の中にしっかり位置づけることのできる巨視的思考に立ち戻ることが、きわめて大切になってきている。
 本書では、新型コロナウイルス・パンデミックの真っただ中にある今、現実社会に次々と露わになってくる新たな事態をふまえ、気候変動と新型コロナウイルスの問題を個々別々にではなく、両者を統一的、全一体的(ホリスティツク)なものとして捉え、コロナ後の強靱で持続可能な新しい社会はどうあるべきかをとことん考えていく。
 「コロナ疲れ」に拉がれている今、まさにこの未来への飽くなき探究の人間的営為それ自体が、時代創造への発揚を促し、人々それぞれの心の奥底に生きる新たな希望の光と勇気をきっと喚び起こしていくことになるであろう。今日のコロナ災禍の閉塞を根本的に打ち破る道は、これを措いてないのではないだろうか。   

2021年3月19日
里山研究庵Nomad
小貫雅男・伊藤恵子

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ドキュメンタリー映像作品『四季・遊牧 ―ツェルゲルの人々―』ダイジェスト版(前編・後編)をYouTubeに無料公開中です。この作品に描かれている大地に生きる民衆の根源的思想は、「菜園家族」社会構想の原点ともいうべきものになっています。新著とあわせてご覧ください。

【前 編】~秋・冬・早春~(1時間40分)
https://youtu.be/8ckpvZv3blc
【後 編】~春・夏・晩秋~(1時間40分)
https://youtu.be/8WR0TCZd7O0

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