終わりのはじまり ― 主権簒奪、独裁欺瞞の政治 ―

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終わりのはじまり―主権簒奪、独裁欺瞞の政治―
(2015年9月19日付、PDF:133KB、A4用紙5枚分)

終わりのはじまり

― 主権簒奪、独裁欺瞞の政治 ―

小貫 雅男
伊藤 恵子

2015年9月19日未明、国民の切実な声に耳を貸そうともせず、安倍政権は数の暴力によって、ついに憲法違反の「戦争法案」を参院本会議で強行採決した。
これは、まさに歴史にクーデターの汚点を残す暴挙であり、戦後民主主義の根幹をゆるがす一大転換である。
私たちは今、かつての全体主義、軍国主義国家への逆行の道を辿る極めて重大な岐路に立たされている。
政治にあまりにも嘘が多すぎる。その醜さに、子供たちまでもが首をかしげ、怒るほどだ。なぜこれほどまでに政治が落ちぶれたのか。それは、政治家個々人の資質の問題として解消できるものではない。戦後長きにわたる経済成長偏重のわが国社会の病理の根深さに起因するものであり、この病を治癒しない限り、もはやこの社会は、どうにもならないところにまで来ている。
日本国憲法前文が高らかに謳った主権在民の人類普遍の原理。この原理を真っ向から否定する安倍政権。主権簒奪の欺瞞のこの独裁政治。これに対峙する、反転への民衆の本物のたたかいは、これからはじまるのだ。


「自由と民主主義と積極的平和主義」の
仮面をかぶり
財界と大国アメリカの意のままに
民意を巧みにあやつり
議会を牛耳る

はてには
ファシストまがいの独裁強権をもって
平然と
主権者たる国民を
ないがしろにする

まさにわが国の今日の
この事態は
新種の現代版
主権簒奪の
独裁欺瞞の政治以外の何ものでもない

民衆を踏みにじる
安倍政権の
このこざかしい政治
気を落とすことはない

今日のこの日から
明日をめざす
希望に満ちた
本物の長いたたかいは
はじまるのだ

欺瞞と
虚構を廃し
大地に根ざした
素朴で
精神性豊かな
生活世界の構築

それは紛れもなく
実に長期にわたる
茨の道ではあるが

労を厭わず
果敢に挑む
民衆のその姿に
人間としての
至福の喜びと
矜持を見る

この至難の道こそが
次代のあるべき人間を
新たに生み出す
かけがえのない
たしかな母胎となる

苦しいたたかいの
その遥か先に見えるもの

それは抑圧と戦争のない
互いに笑顔で暮らせる
人間味溢れる
緑豊かな
自然融合の
つつましい
生活のかたちではないのか

大地への回帰

それは
生命起源の
悠久の歴史に
自己の身をゆだね
生命の根源的な仕組みを
感知し

生死を越えた
連綿たる
いのちの継承性を信じる
利他の世界観であり

それはまた
資本の凶暴に
耐え抜き、打ち克つ
抗市場免疫の
21世紀民衆の
強靱にして
しなやかな思想なのだ

まさにそこにこそ
18世紀産業革命以来の
近代を超克する
確かな道と
深いいのちの思想
未来への
希望の光を見る

政治的無関心と
無気力のそしりを
不本意にも
長きにわたり甘受し
失望と不安の闇の底に
突き落とされた
若者たち

今や公然と
世の不条理に
異議を申し立て
国会前へ
各地の街頭へと
一気に
浮上してきた

やがて
若者たちは
自らの足元を
じっくり見つめ直し
社会の不条理の
核心に迫る

そして
ひるむことなく
敢然と
次のステージへと
踏み出すであろう

いつの世も
人はだれも
ささやかな夢を
胸に秘め
悩みもがきながら
誠実に
生きている

為政者よ
この際
これだけは
はっきり言っておこう

かりそめにも
国民を嘘で言いくるめ
騙し
裏切るなど
決してあってはならない

主権簒奪の
独裁政治の欺瞞の季節は終わり
主権者たる民衆の
本物のたたかいの時代は
これからはじまろうとしている

2015年9月19日
(強行採決の日)

〒522-0321 滋賀県犬上郡多賀町大君ヶ畑452番地
里山研究庵Nomad
TEL&FAX:0749-47-1920
E-mail:onuki@satoken-nomad.com
http://www.satoken-nomad.com/

下記の小文および拙著を併せお読みいただければ幸いである。

『お任せ民主主義』の終焉 ―近代の超克と主体性構築の時代へ―」(小貫雅男・伊藤恵子、2015年3月2日、里山研究庵Nomadホームページに掲載)

・『グローバル市場原理に抗する 静かなるレボリューション ―自然循環型共生社会への道―』(小貫・伊藤、御茶の水書房、2013年)

・「近代超克の『菜園家族』的平和主義 ―いのちの思想を現実の世界へ―」(小貫・伊藤)、『季論21』第30号 2015年秋号(発売 本の泉社、2015年10月20日発行予定

(完)